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コラムColumn

フラット35の不正利用とは 不正利用した際の不利益と巻き込まれない為の方法

鶴田 雄大
日本橋中央法律事務所
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フラット35の不正利用とは 不正利用した際の不利益と巻き込まれない為の方法

近年、フラット35の住宅ローンが不正に投資用物件購入に使われる問題が増加しています。本来の目的を逸脱した使用は、発覚した際には重大な法的リスクを招く可能性があります。特に、不動産業者からの不正確な勧誘によって無知な消費者が巻き込まれるケースが多いため、注意が必要です。この記事では、フラット35の不正利用の実態とそのリスク、そしてどのように注意すべきかについて詳しく解説します。

※この記事は2023/03/13にラクーンレントメルマガで配信したものを加筆修正したものです。

フラット35不正利用問題とは

近年、フラット35等の住宅ローンを、投資用物件を購入するために不正に利用することが社会問題になっております。

そもそもフラット35とは、住宅金融支援機構が民間金融機関と連携して提供する住宅ローンをいいますが、自らが居住する住宅を購入するための住宅ローンであるため、次のような利用は契約上認められておりません。

  • 自らは居住するつもりがなく、投資目的で住宅を取得すること
  • 自動車の購入費用など住宅取得費以外の費用を上乗せして申し込むこと
  • 消費者ローンなどの返済に充てる費用を上乗せして申し込むこと(おまとめローン)

しかし、フラット35は投資用ローンと比較すると返済期間が長く、また金利も優遇されているため、借りる側にとってはメリットも多く、前述のとおり、投資用物件を購入するためにフラット35を不正に利用するといった不適切事例が多数発生しております。

実際に、2022年10月5日付けの日経新聞の紙面において、会計検査院の指摘により、フラット35の不正利用による融資額が2017年から2018年度までに約19億円にも上っていることが報じ​​​​​られております。ただ、これもあくまでも氷山の一角であり、実際にはもっと多くの不正利用が存在すると言われております。

不正利用が発覚した場合には、どのような不利益を被るのか

上記不適切事例のほとんどは、不動産投資の知識がなく、かつ、住宅ローンの審査に通りやすいサラリーマンが、不動産業者から狙われ、強引な勧誘を受けることで、何も知らずにフラット35を利用して投資用物件を購入してしまう例が多いようです。

しかし、この問題の厄介な所は、サラリーマンオーナーの立場として、不動産業者からの強引な勧誘を受けたという意味では被害者であるものの、住宅金融支援機構等との関係では、いわゆる加害者になってしまうことです。

そのため、フラット35の不正利用が発覚した場合には、サラリーマンオーナーとしても、金融機関又は住宅金融支援機構から、残債務の一括返済を求められたり、悪質な場合には詐欺罪等の刑事罰に問われたり等の多大な不利益を被ることになりますので、注意が必要です。

住民票さえ異動しておけば、フラット35を利用して投資用物件を購入できるのか

不動産業者から不動産投資の勧誘を受ける中で、「購入先の住宅の住所に一定期間住民票を異動さえしておけば、実際に引っ越さなくても、全く問題なくフラット35を利用できる。」等と助言されることがあるようです。

しかし、フラット35の不正利用に該当するかどうか、すなわち、フラット35の利用者が購入先の住宅に自らが居住する目的を有するか否かは、実質的に判断されるものであり、住民票の記載はあくまでも一つの判断要素に過ぎません。

住民票の記載以外にも、例えば、①フラット35を利用して住宅を購入するに至った経緯はいかなるものか、②実際に引越をし、電気、ガス、水道等の契約をしているか、③仮に途中で購入先の住宅から転居する場合には、その転居理由は何か(会社から転勤命令があった、親の介護が必要になった等)等といった事情を元に実質的に判断されることになります。

そのため、住民票さえ異動させておけば、投資用物件の購入のためにフラット35を利用できるわけでは決してありませんので、注意が必要です。

不正利用に巻き込まれないためには

 一連の不適切事例が発覚したことで、現在は、フラット35の居住目的の審査が厳格化されておりますが、それでもなお、フラット35の利用に関して誤った情報を提供する​​​​​不動産業者も沢山存在しております。

例えば、次のような勧誘を受けた場合には、いずれもフラット35の不正利用に巻き込まれる可能性が非常に高いですので、十分に注意してください。

不正利用の例

  • 返済中のカードローンや車の借入をフラット35で一本化しましょう
  • 契約書を2つ作成しましょう。みんなやっているから大丈夫。
  • フラット35は投資用物件にも利用できます。
  • 金融機関には自己居住用と説明すればOK。
  • 収入が少ない?うまくやるので任せてください。
  • 手続は全て私がやります。勝手に金融機関と話をしないで。

参照
【フラット35】の不正利用に巻き込まれないために:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】 (flat35.com)

編集部追記:この記事のまとめ

フラット35を投資用物件購入に利用される事例が増加していますが、このローンは本来、自らが居住する住宅を購入する目的で設計されているため、投資用での使用や他のローン返済に用いることは契約違反です。しかし、返済期間が長く、金利が低いため、投資用に不正利用する人々が増えています。

発覚した場合、一括返済の要求や詐欺罪での刑事罰が科される可能性があります。特に、不動産業者による誤った勧誘が原因で不正利用してしまうケースが多く、被害者であると同時に法的には加害者ともされることが問題です。

一部の不動産業者は、「住民票を移動させればフラット35を投資用に使える」と助言することがあるが、実際には住民票の情報だけではなく、多くの要素が考慮されるため、このような行為もリスクが高いです。

不正利用を避けるためには、不動産業者からの怪しい勧誘には注意が必要です。特に、「投資用に使える」「手続きは全部私がやります」などの言葉には警戒する必要があります。最近では、フラット35の審査も厳格化されていますが、依然として誤った情報を提供する不動産業者も存在するため、十分な注意が必要です。

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