賃借人の自己破産による賃貸借契約の解除と保証会社の対応とは
※この記事は2022/03/15にラクーンレントメルマガで配信したものを加筆修正したものです。
賃借人が破産した場合の影響とは
少し物騒な話題ですが、コロナ禍で賃借人の自己破産が増えているという話を伺います。
突然の賃借人が自己破産をしたと聞いた時、パニックにならないよう、賃貸借契約及び保証委託契約はそれぞれどういった対応になるのか、今一度確認しておくことが大切です。
賃借人が破産した場合の賃貸借契約に関して
まず気になるのが、賃借人が自己破産をした場合に賃貸借契約を解除にできるのかという点です。2004年に改正の行われた破産法改正に伴い、現行民法では基本的に自己破産を理由にした賃貸借契約の解除は不可となっております。自己破産をすることで抱えている債務からは免れますが、住む場所がないと仕事ができなくなるため、その後の生活が立ち行かなくなるためです。ただし、例外として次のような例があげられます。
家賃が高額な場合
明らかに賃料が高額な物件に関しては、自己破産後の生活水準に見合わなくなってしまうことを理由にして、破産管財人が、賃貸借契約の解約を申し入れることがあります。ただし、あくまでも破産管財人が解約の申し入れをするということであり、賃貸人側から、積極的に賃貸借契約を解除できるということではありません。
家賃の滞納がある場合
賃借人の破産に際し家賃の滞納がある場合には、滞納分の家賃も免責の対象になる一方で、家賃の滞納が継続している場合には、それを理由とした賃貸借契約の解除は認められております。
破産を理由にした解除特約の有効性は?
上記のように、破産申し立てを行うだけでは賃貸借契約が終了することにはなりません。
例えば、事業用賃貸借契約の場合、一般的に倒産解除特約を盛り込む例も見受けられますが、当該特約を無効にした判例もありますので、当該特約を盛り込んでいることで一様に安心できるということはないようです。
参照:
最判昭和57年3月30日民集36巻3号484頁
昭和57年3月30日 機械引渡 裁判例結果詳細 | 裁判所 – Courts in Japan
最判平成20年12月16日民集62巻10号2561頁
平成20年12月16日 動産引渡等請求事件 裁判例結果詳細 | 裁判所 – Courts in Japan
保証会社の対応
肝心の保証会社側の対応についてです。自己破産を理由にした賃貸借契約の解除は必ずしも簡単ではないことを上記で確認させて頂きましたが、ラクーンレントの家賃保証は明渡完了までの保証となっております。たとえ賃借人が破産し、早期の賃貸借契約の解除がかなわない場合でも、弊社の家賃保証に加入頂いていればひとまず安心頂けると思います。
※保証のプランによっては賃料の遅れ分のみを保証している場合もございます。
ただし、上記の対応はあくまでも弊社の場合のお話です。保証会社によっては解除理由に当てはまる場合もあるかと思いますので、今一度、ご自身の保証契約を見直してみるといいかも知れません。